ロードレース観戦初心者が絶対知っておきたい、『ワンデイレース』と『ステージレース』の違い。
僕がロードレース観戦に興味を持ち始めたばかりの頃、『ツール・ド・フランス』のハイライト映像を観ていた時に解説者が
ステージ優勝者はリゴベルト・ウラン
2位 ワレン・バルギル
3位 クリス・フルーム という結果になりました。
続いて総合順位です。
1位 クリス・フルーム
2位 ファビオ・アル
3位 ロマン・バルデ となりました」
と言っているのを聞いて
・ステージって何?
・優勝したのに総合順位1位じゃないの?
・とりあえずクリス・フルームって選手が強いのか?
と疑問ばかりで何も理解できませんでした・・・。
この記事ではそんな昔の僕と同じ悩みを持ったあなたに、『ワンデイレース』と『ステージレース』の違いについて説明していきます。
ワンデイレース
1.ワンデイレースとは
文字通り1日(Oneday)のレースの着順によって勝者が決まるレースの事を『ワンデイレース』といいます。
「ヨーイドン!」で一斉にスタートをし、最初にゴールまでたどり着いた選手が勝者となります。
おそらくレースという単語を聞いて、殆どの人が想像するレース形態がこの『ワンデイレース』ではないでしょうか。
『ワンデイレース』では1日で勝負が決するためダイナミックな展開が多く、選手もその1日のレースに全力を尽くします。
『ミラノ~サンレモ』と呼ばれるレースではなんと300km(おおよそ東京都から愛知県!)に近い距離を1日で走ります。
正に力と力のぶつかり合い(その1日の中での戦略もありますが)といったレースで、観戦する時もレースの全容が掴みやすいです。
そのため、ロードレース観戦を始めたばかりの人に『ワンデイレース』はオススメです。
2.クラシックと呼ばれるワンデイレース
世界各地で無数にある『ワンデイレース』ですが、その中でも長い歴史を持ち格式の高いレースを『クラシックレース』と呼びます。
この『クラシックレース』での勝利は非常に価値があり、『クラシックレース』での勝利を目標にして活躍している選手たちは『クラシックハンター』と呼ばれています。
また『クラシックレース』の中でも特に長い歴史を持ち別格とされている5つのレースがあり、総称して『モニュメント』と呼ばれています。
この『モニュメント』と呼ばれるレースで勝利するという事は、歴史に名を刻むと言っても過言ではありません。
ワンデイレースの最高峰、それが『モニュメント』です。
『モニュメント』については、こちらの記事をご覧ください。
3.有名なワンデイレース
・ミラノ~サンレモ
・ロンド・ファン・フラーンデレン
・パリ~ルーベ
・リエージュ~バストーニュ~リエージュ
・ジロ・ディ・ロンバルディア
・ヘント~ウェヴェルヘム
・フレッシュ・ワロンヌ
・世界選手権
ステージレース
1.ステージレースとは
『ワンデイレース』が1日で勝負を決するレースなのに対し、『ステージレース』は数日にわたりレースを行い最終的な所要時間により順位を決定します。
所要時間だけではなく、ゴールラインやコース上の指定された地点を上位で通過することで得られるポイントを競う『ポイント賞』。
山岳や峠の指定されたラインを上位で通過することで得られる山岳ポイントを競う『山岳賞』等も狙っての戦いが繰り広げられます。
また各ステージごとの着順でも表彰があり、その日のレースの優勝者を『ステージ優勝者』といいます。
第○ステージというのは言い換えれば、その『ステージレース』の何日目という事です。
『ステージレース』では、『ワンデイレース』のような激しい展開が連日続くことは少ないです。
・次の日の激しい山岳ステージの為に前日は体力を温存するような走り
・総合順位を狙うチームとポイント賞を狙うチームの利害が一致すれば、お互いのライバルチームを落とす為に協力
等、様々な思惑や戦略があるのが『ステージレース』の特徴です。
特にレースの動きがない退屈な日もあれば、激しく総合成績が入れ替わるような日もあります。
選手の特性等を理解していないと各チームの戦略を把握することも難しいので『ステージレース』は、ロードレース観戦を始めたばかりの人がレース全体の流れを把握するのは少々難しいと思います。
2.グランツールと呼ばれるステージレース
『ステージレース』には『グランツール』と呼ばれる世界最高峰のレースがあります。
それが
・『ジロ・デ・イタリア』
・『ツール・ド・フランス』
・『ブエルタ・ア・エスパーニャ』
の3つです。
『グランツール』については、こちらの記事をご覧ください。
規定では「15日以上23日以内、途中に2日休養日を挟む」を満たすレースを『グランツール』と呼びます。
現代のグランツールは21ステージ+休養日2日の23日間で行われている事が多いです。
・3000kmを超える距離を23日間レースをしながら走りぬく
・気温30度を超える中6時間を超えることもあるステージ
・累計すれば1ステージで富士山を1度登りきる(3776m)以上の山岳や山を越えていく事もある
・1日の消費カロリー約8000~10000kcal(一般成人男性の1日の消費カロリー約2000kcal)
・途中落車して怪我をしても走れる限り走り続ける(ツール・ド・フランス第1ステージで落車し骨折したにもかかわらず、最終第21ステージまで完走した選手もいます)
幾つか例を挙げましたが、『グランツール』を走る選手達は一般人とはかけ離れた超人ばかりです。
『ワンデイレース』で活躍する『クラシックハンター』がいるように、『グランツール』で活躍する選手を『グランツールレーサー』呼びます。
彼らは1日のパンチ力を持つ『クラシックレーサー』とは異なり、数日以上に渡る『ステージレース』で安定したパフォーマンスを発揮します。
(中には『ワンデイレース』、『ステージレース』共に成績を残す怪物のような選手もいます)
3.有名なステージレース
・ジロ・デ・イタリア
・ツール・ド・フランス
・ブエルタ・ア・エスパーニャ
・サントス・ツアー・ダウンアンダー
・パリ~ニース
・クリテリウム・デュ・ドーフィネ
・ツール・ド・スイス
・ビンクバンク・ツアー
『ワンデイレース』と『ステージレース』はロードレース観戦の基本
ワンデイレース
・1日で勝負が付くレース
・エキサイティングな展開が多く、観ていて楽しく分かりやすいのでロードレース観戦初心者向き
・モニュメントと呼ばれるレースがワンデイレースの最高峰
ステージレース
・2日以上かけて様々な分野の総合成績を決めるレース
・第○ステージとは、ステージレース○日目という事
・各チームの思惑や数日単位での戦略があり、激しい動きのない日もある為ロードレース観戦初心者には少々分かりにくい
・グランツールと呼ばれるレースがステージレースの最高峰
以上の事を理解したうえで、僕が最初理解できなかった解説を言い換えると
今日の優勝者はリゴベルト・ウラン
2位 ワレン・バルギル
3位 クリス・フルーム という結果になりました。
続いてツール・ド・フランス9日間レースを行った上での総合順位です。
1位 クリス・フルーム
2位 ファビオ・アル
3位 ロマン・バルデ となりました」
となります。
『ワンデイレース』と『ステージレース』は、ロードレース観戦の基本です。
最近ロードレースに興味を持ったけど何だか良く分からない、そんなあなたがロードレースを少しでも理解する事にこの記事が役立てば幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。