スペインを象徴するような真っ赤なジャージ『マイヨ・ロホ』。
情熱の国スペインを舞台に開催される3大グランツールの1つ”ブエルタ・ア・エスパーニャ“。
夏の余韻を残した9月に開催され、選手達のぶつかり合いに思わず手を握る熱い熱いレースです。
この記事ではそんな『ブエルタ・ア・エスパーニャ』の、各賞ごとの特別なジャージについて説明します。
ブエルタ・ア・エスパーニャの各賞ジャージ
1.マイヨ・ロホ
個人総合成績1位の選手が着用する赤色のジャージ、それが”マイヨ・ロホ“です。
スペイン語で『ロホ』は赤色を意味するので、『赤いジャージ』という意味です。
各ステージ終了時点で最も合計所要時間が少なかった選手が、次のステージで『マイヨ・ロホ』を着用します。
そして約3週間に渡る激戦を制し『マイヨ・ロホ』を着用して、スペインの首都・マドリードで行われる最終ステージを終えた選手が『ブエルタ・ア・エスパーニャ』覇者となります。
情熱の国スペインを象徴するような真っ赤なジャージは、集団の中でも一際目を引きます。
山岳が多く登場するため、オールラウンダーの他にも登坂が得意なクライマーが最終的な『マイヨ・ロホ』着用者になります。
近年『ブエルタ・ア・エスパーニャ』を制したクライマーに、2015年の”ファビオ・アル“、2016年の”ナイロ・キンタナ“、2018年の”サイモン・イェーツ“がいます。
『ブエルタ・ア・エスパーニャ』は、個人総合成績1位の証である『マイヨ・ロホ』をめぐる激しい戦いです。
『ブエルタ・ア・エスパーニャ』の総合リーダージャージは、昔から赤色だったわけではなく過去何度も色を変えています。
現在の赤色のジャージ『マイヨ・ロホ』の前は、“マイヨ・オロ“という金色のジャージでした。
2.マイヨ・プントス
ポイント賞1位の選手が着用する緑色のジャージ、それが”マイヨ・プントス“です。
『プントス』はスペイン語でポイントを意味します。
各ステージのゴールやステージ途中のスプリントラインを通過した順位に応じて与えられる”スプリントポイント“。
各ステージ終了時点でそのスプリントポイントの合計が最も多い選手が、次のステージで『マイヨ・プントス』を着用します。
最終ステージを終えて、スプリントポイントの合計が最も多い選手が“ポイント賞“受賞者となります。
『ツール・ド・フランス』や『ジロ・デ・イタリア』ではポイント賞はスプリンターが獲得する場合が殆どですが、『ブエルタ・ア・エスパーニャ』のポイント賞は異なります。
それは平坦ステージと山岳ステージの『スプリントポイント』が、同じポイント配分になっている事が原因です。
険しい山岳を超えた後にスプリントラインが設定される事も多く、登坂力に長けていないピュアスプリンターがポイントを獲得することが難しくなっています。
そのためクライマーやオールラウンダー等の総合上位を狙える選手や、登りにも強いスプリンターが『マイヨ・プントス』を獲得する事になります。
また総合成績を狙う選手は基本的に山岳ステージで戦いを繰り広げる為、山岳ステージを常に上位で通過する事になります。
結果ポイントの獲得にも繋がり、個人総合成績1位の証『マイヨ・ロホ』と共に、ポイント賞1位の証『マイヨ・プントス』を獲得する事があります。
3.マイヨ・モンターニャ
山岳賞1位の選手が着用する白地に青い水玉模様のジャージ、それが”マイヨ・モンターニャ“です。
『モンターニャ』はスペイン語で山や山岳を意味します。
各ステージの丘や峠等の頂上付近に設けられた、山岳賞地点を通過した順位に応じて与えられる”山岳ポイント“。
各ステージ終了時点でその山岳ポイントの合計が最も多い選手が、次のステージで『マイヨ・モンターニャ』を着用します。
最終ステージを終えて、山岳ポイントの合計が最も多い選手が”山岳賞“受賞者となります。
山岳でのポイントを競う賞なので、基本的にはクライマーが受賞する事が多いです。
しかし総合成績を狙っていた選手が総合争いから脱落してしまい、狙いを総合成績から山岳賞に切り替える場合があります。
そのためオールラウンダーが『マイヨ・モンターニャ』の最終的な着用者になる事も多いです。
更に2018年は”トーマス・デヘント“という逃げが得意な選手が『マイヨ・モンターニャ』を獲得しています。
クライマーに、総合争いから脱落したオールラウンダー、そこに加えて逃げが得意な選手。
山岳賞ジャージですがそのままクライマーが受賞するわけではないので、最終的に『マイヨ・モンターニャ』を着用する選手の予想は非常に困難です。
4.マイヨ・コンビナーダ
総合順位・ポイント賞順位・山岳賞順位の3つの合計が最も少ない選手が着用する白色のジャージ、それが”マイヨ・コンビナーダ“です。
『コンビナーダ』はスペイン語で複合を意味します。
“複合賞“と呼ばれますが、この賞を狙う選手は基本的にいません。
なぜなら『複合賞』を狙うという事は、総合順位を狙う事と変わりが無いからです。
ポイント賞と山岳賞の上位を取るためにはレース先頭で常に戦う必要があり、そんな動きをする選手は総合狙いの選手です。
結果として総合1位か2位の選手が『複合賞』を獲得する場合が殆どで、総合成績のおまけのような不思議なジャージが『マイヨ・コンビナーダ』です。
2017年”クリス・フルーム“は個人総合成績1位でありながら、ポイント賞・複合賞も受賞しました。
そんな『複合賞』ですがなんと、2018年の『ブエルタ・ア・エスパーニャ』を最後に廃止されてしまいました。
5.マイヨ・ブランコ
開催年に25歳以下の誕生日を迎える総合成績が最も上位の選手が着用する白いジャージ、それが”マイヨ・ブラン“です。
『ブランコ』はスペイン語で白を意味します。
各ステージ終了時点で最も合計所要時間が少なかった、開催年に25歳以下の誕生日を迎える選手が次のステージで『マイヨ・ブランコ』を着用します。
最終ステージを終えて、対象とされる選手の中で総合順位が最も高い選手が”新人賞“を獲得します。
未来のグランツールレーサーを占う『新人賞』ですが2018年まで対応した特別ジャージはなく、最終日に表彰されトロフィーを渡されるだけでした。
しかし2018年に廃止された『複合賞』の特別ジャージ『マイヨ・コンビナーダ』に変わり、2019年に『新人賞』の特別ジャージ『マイヨ・ブランコ』が登場しました。
各賞ジャージに注目すれば『ブエルタ・ア・エスパーニャ』観戦がもっと楽しくなる!
1.『マイヨ・ロホ』
・個人総合成績1位の選手が着用する赤色のジャージ
・以前は『マイヨ・オロ』という金色のジャージだった
2.『マイヨ・プントス』
・ポイント賞1位の選手が着用する緑色のジャージ
・ピュアスプリンターが最終的な着用者になる事は殆ど無い
3『マイヨ・モンターニャ』
・山岳賞1位の選手が着用する白地に青い水玉模様のジャージ
・最終的な着用者の予想が他の賞より難しい
4.『マイヨ・コンビナーダ』
・複合賞受賞者が獲得する白色のジャージ
・2018を最後に賞は廃止、特別ジャージは新人賞に引き継がれた
5.『マイヨ・ブランコ』
・開催年に25歳以下の誕生日を迎える、個人総合成績が最も上位の選手が着用する白色のジャージ
・以前も新人賞自体は存在したが、2019年から特別ジャージが導入された